福束の白髭神社の中に、福束稲荷大明神が奉られています。どこでもお稲荷さんは、正一位稲荷大明神といっていますが、同じ正一位でも、その上につく名称はいくつか格差があるそうです。
福束のお稲荷さんは、福寿稲荷正一位ですが、実は、この位をうけにいくときのおもしろい話が残っています。
京都の伏見稲荷へ位をもらいにいくとき、福束のお稲荷さんが村人に化け、羽織を着てはかまをはいて、大小の刀をさし武士の姿になっていかれたといいます。ところが、渡船場で舟に乗るとき、まだ舟が岸につかないのに、一間ほど先から、両足でピョンと跳びのり、向こう岸でも同じようにピョンと飛び降りなさったので、お供の神主さんや宮総代さんたちは、「やっぱり、すがたは変わっても跳ぶところをみると、本性が出とる」といったそうです。
また、小便をするとき、みんなが見ていないところで、四つんばいになって、はいずってするところから、おきつねさんだとわかりました。伏見についたら、一の鳥居はかんたんに跳び、二の鳥居も跳び越えて進みました。しかし、三の鳥居になったら、何べんやっても跳べず、くやしがり、血の涙を流されたそうです。
それで、二度目にいって受けたのが福寿稲荷大明神です。それから後には、福束のお稲荷さんは位が高いといって、毎日まいる村人が多くなったといいます。
それまでの一段低い位の白菊稲荷大明神は、一柳実さん宅にまつられています。
いまでも、2月の初午には、福束の総代が集まり、大きな生きている鯉一匹と、鏡餅やおこわ等いろいろ供物をし、もらった店へ、おさがりを配っています。現在もこの初午の日には、ご祈祷が終わると、供物の鯉でみそ汁をたいて、昼に会食をしています。この風習は、これからも続いていくことでしょう。
福束の白髭神社・稲荷神社は、輪中文化財(信仰)で紹介してます。
わのうち百話より
場所 | 輪之内町福束(白髭神社) |
---|---|
連絡先 |
TEL: |
所有者 | |
製作年代 |
撮影日 | 2011年8月10日 | 経度 | 35.29841974714209 |
---|---|---|---|
調査年月日 | 2011年9月21日 | 緯度 | 136.6229510307312 |
水郷地帯の岐阜県輪之内町。
輪中に位置するこの町は、昔から
川の氾濫をくり返し、生命、家屋、農地等を奪いつつも、水害から身を守るため
様々な治水事業を行ってきました。
中でも宝暦年間に行われた治水事業は、輪之内町のの歴史上大変重要であり、今の輪之内を形づくっています。
輪之内町内には薩摩藩の功績をたたえた史跡や、水と戦ってきた数々の知恵が今も生きています。