楡俣新田の江翁寺の観音堂南にまつられている、伏見清十郎稲荷大明神と名づけられたお稲荷さんには、こんないい伝えが残っている。
昔、江翁寺に凞道和尚(きどう)がおりました。和尚は一人暮らしの為、近所のおまつばあさんが家事をしに来ていました。家事が終わるとよく和尚の肩をもんでくれました。その晩もいつものようにもみはじめたのですが、肩の骨が折れんばかりの力でもみ出したので、あまりの痛さに驚いた和尚は、目を肩の方に向けビックリ。毛むくじゃらの狐の手が。大声でどなると、狐は逃げて行きました。その後を追うと、狐はおまつばあさんの家へ。中には、おまつばあさんが泥まみれで高いびきをかいて眠っていました。和尚は、あの狐がおまつばあさんに乗り移ったに違いないと思い、お経を読み始めました。すると、とりついていた狐が『本堂の下から、観音堂へ移る。そのときに本性をあらわそう。』といって年老いた狐が姿をあらわした。『和尚さん、昔は養老の山の中に住んでいたが、あそこでは食っていけんのでここへやってきた。追いださんで下さい。わしが死んだら、ここにまつって下さい。』と頼むので、和尚は『まつってやろう。何という名だ。』とたずねると『名は清十郎と申す。』というので、京都の伏見稲荷にお願いし、お稲荷さんの資格を貰った。
清十郎稲荷がある江翁寺は、輪中文化財(信仰)で紹介しています。
参考文敵:わのうち百話
場所 | 輪之内町楡俣新田 (江翁寺) |
---|---|
連絡先 |
TEL: |
所有者 | |
製作年代 |
撮影日 | 経度 | 35.29868243803759 | |
---|---|---|---|
調査年月日 | 2012年3月22日 | 緯度 | 136.65189743041992 |
水郷地帯の岐阜県輪之内町。
輪中に位置するこの町は、昔から
川の氾濫をくり返し、生命、家屋、農地等を奪いつつも、水害から身を守るため
様々な治水事業を行ってきました。
中でも宝暦年間に行われた治水事業は、輪之内町のの歴史上大変重要であり、今の輪之内を形づくっています。
輪之内町内には薩摩藩の功績をたたえた史跡や、水と戦ってきた数々の知恵が今も生きています。